青月堂の6ヶ月
〜3〜 二人目の人類・1
ん……。
いい匂いだなぁ。
包丁のコトコトっていう音が気持ちいい……って?
俺はガバリと起きあがった。
「…なぁんだ、君かぁ……」
一瞬、誰かと思った。2ヶ月間、一人暮らしだったから、
同居人ができたことに脳味噌がまだ慣れていないのだ。
「あ、お早うございます。お目覚めはいかがです?」
「いやぁ……。それにしても、何やってるの?」
「もちろん朝食を作っているんです」
「冷蔵庫、何か入ってたっけ」
「ええ、いろいろと。大丈夫、変なものは作りません」
「当たり前だ」
低血圧体質なので寝起き悪いし、起きても意味もなく機嫌が悪い。
それでも眠たい身体を叩き起こして洗面所にいき、歯磨きをして顔を洗う。
小窓を開けると、梅雨寒のせいで、冷たいほどに風が涼しかった。
着替えようと部屋に戻ると。
「うわわわわっ」
恐ろしく整頓されている。
カタログや資料がきっちりと並べられていて…、
昨日の夜はこんなじゃなかったはずだ。
「お部屋をお借りしたお詫びに少し片づけを…」