青月堂の6ヶ月
〜5〜 気づかれてはいけない
落ち葉がひらひらと風にのる。なんて風流なんだ……。
「翔さん、今日ちょっと出かけてきます」
「鍵、持っていってね。俺も出るかもしれないから」
お店が休みの時は、いつも朝から出かけていく。
いつからかな。…頻繁になったのは夏が終わった頃からだろうか。
定休の日はいつもいない。朝ご飯の後、片づけてから出て行く。
帰ってくるのはだいたい夜10時くらい。こっそり戻って、それきり出てこない。
食事も気にするなと言ってた。
客間のふすまを閉めて、俺は知らないふりをしてるんだけどね。
本当に、どこに行くんだろう。
友達も(彼女宛ての電話や手紙がこないから)いなさそうだし、お金も使ってなさそうだし。
お給料は(俺が用意してあげた)口座に月払いで振り込んでるんだけど、いっこうに減ったためしがない。
何しに外へ行くんだろう。
俺は人混みの中へ紛れゆく彼女の後ろ姿を、二階の窓からぼーっと見送っていた。
秋の深まりと共に青月堂の客は増えていった。
あのホームページ広告のおかげか、口コミで広がったか。
とにかく青月堂が繁盛したことに間違いはない。